大将からひとこと

第二十二回:欠敗

私ひとりで料理をきりもりして5年 
“阪神淡路大震災”を機に今の店舗を
移転と共に一度に60人を収容する
大型店に。

それまで料理はひとりで接客は
女将と昼パートひとりと
夜パートひとりの4人で店を
廻していましたが、
求人募集をし一度に30名程の
雇用です。

その当地のアルバイト・パートは
皆んなしっかりしていて2~3度の
教育で物覚えも良く美人ぞろいで、
今現在でも手伝っている子もいる
ぐらい義理堅く、いい人達でしたが
料理人は20代前半の若い男の子と
私で日々欠敗の連続でした。

すべてをチェック、盛り付け提供
する事の難しさに毎日がおわれまくり、
1日24時間では足りないくらい忙しく
お客様が次々に来られ息つくひまもなく、
あわただしい日々でした。

そしてオープンして3ヶ月、
正月の忙しさも落ちついて来た頃、
若い男の子達が反乱をおこし総あかり
(皆んな辞めてしまう事)
と最悪の事態が起きました。

その時のパート・アルバイトの
女の子達のひとことが今でも胸の
奥深く焼きついています。

「私達が男の子の分頑張りますので、
 大将ひとりでも支えますよ」

それからあちらこちらに連絡を取り、
ひとり、ふたりと料理人を入れて
なんとかそのピンチはしのぎましたが、
この世界安定して長く働いてくれる職人が
少なく今でも苦労の種ですが
女性のパワーに助けられている日々です。

「人を使うと苦を使うこと」
と先人は残していますが、
まったくその通り私達の思いとは
裏腹に欠敗、ミスの連続で普通の事が
普通に行えない、挨拶ができない、
いらっしゃいませ、ありがとうが言えない
子供達。
その親達がクレームを店に言って来る
理不尽な事ばかり。

ちょっと怒ると泣いて帰ってしまう、
グラス、器を割っても報告すら
出来ないなど、毎日が信じられない事ばかり、
仕事をすればするほど欠敗ばかり、
1年に数回はお客様に土下座を
していた時もありました。

非社会的な方々に呼び出されたり、
店でお客様同士が乱闘したりと
思い起こせば信じがたい事件、事故、
欠敗の連続で、そのいろいろな事が
私自身を強くさせて頂いたと
今は考えています。

まだまだ未熟者ですが、
寛容な心で温かく見守ってくださいませ。

今年の人間ドッグでひっかかり
ダイエットと休肝日をつくって健康に
気をつけてひとふんばりしてます。

もう少しのご支援の程
よろしくお願い致します。

 

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