大将からひとこと
学校の先生との約束通り、5年勤め、
社会人として厳しくも楽しい日々ではありましたが、
常に心にひっかかる何か。
私にはまだやる事がある?
それが何か分からないまま、
23歳の春、会社を退社致しました。
その時、両親は加古川に中古の一軒家を買い、
12年目で六帖一間から大変な苦労をして、
子ども6人を育てながら頑張って家を購入し、
子どもたちも皆独立してホッとしているときに、
また出来の悪い私が家に帰って来て、
仕事も決まっていない本当に親不孝者でした。
まずは、おじの経営する工務店で
お手伝いをしながら、
のんびりと考えていました。
2~3件の現場を廻り、
ある割烹店の改装工事の仕事も終わり、
打上げでいろいろな料理・お酒を
おじのご馳走でたくさんよばれ、
食べる側だけでなく、
提供する方の仕事もあるんだと...。
23歳の私は世間の狭さを思っていると、
そこの親方と話をする機会があり、
「君の掃除は丁寧できれいな仕事をするね。
一度こんな仕事をしてみないか」
大人の人は視点が違うなと関心しながらも、
ど素人の私にこんな仕事なんか出来ないと
考えながらおじに相談してみると、
「一度やってみたら。
ダメやったら帰って来たらいいよ」
と意外な言葉が返って来ました。
今考えれば、落ち着いて仕事に身が入っていないのが
見えていたんでしょうね。
それから1週間がたち、おじより親方に話をして頂き、
料理の見習い生活が始まりました。
朝は7~8時に始まり、夜は22時頃まで。
時間は長かったですが、規則正しい生活が送れ、
心身ともに落ち着いて仕事が出来、
お客様の楽しそうな顔をのれんの陰から見ることが
楽しみのひとつでした。
そして新しい出逢が。
・・・つづく
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