大将からひとこと

第十九回:なんげなく さりげなく

今の時代は表現しアピールをしないと
他の人に商品とか人柄を理解して頂けない、
情報にあふれた複雑な世の中です。

義理とか人情と言う言葉は死語になりました。

私達の教育された時代は
「不言実行」「親の背中を見て育つ」
「聞くより見て学べ」の教えの時、
私の青春時代(修業時代)が昭和の教えの元で
育ってまいりました。

口下手の私には調度いい教えで考え方、
体質に合っているのか直に受け止める事が
出来ました。

幼少のころから消極的で人前に出る事が嫌いで
だまってひとつの物事に取り組むことが好きで
(一度にふたつみっつの事を同時にすることが
 出来ない、いわゆる不器用な子供でした)
学校でも先生に「掃除しといてくれるか」と
言われるといつまでも次の指示があるまで
掃除をしている不器用でおとなしく、
気の弱い子でした。

親の教えでもあった「不言実行」を青年期迄実直に
行動していましたが、18歳からひとりで生活して
仕事を行う中、
父が「お人様はどこかで見ているから
いつかは引き上げてくれる」との口癖が?

なんげなく・さりげなく仕事を繰り返し
毎日が過ぎ去って行く
虚しさ・悲しさ・苦しさこのままでいいのだろうか?

この頃から少しずつ考え方が替わり
自分との葛藤が始まり、
これからは「有言実行」で行こうと・・・・

言葉を出して他人に伝えてみよう、
素直に表現していこう。

「何歳でお店をだします」「お店の雰囲気」
「料理の感じ」「提供の仕方」「客単価」

などと空想の中は言いたい放題。
夢物語を仲間やお客様とお酒を交わしながら、
無謀な事を語り始めました。

でもその頃から世の中が少しずつ替わりはじめ
廻りの方々が私を見る目が替わって来ている事を
肌で感じられるようになり目に見えない自身が
フツフツと沸きだし心も体も熱くなる自分を
感じるようになりました。

父の背中はいつでも言葉少なくなにげなくさりげなく
しっかりときっちりと仕事をこなす
男の孤独の姿でもありました。

そして父と同じ年齢になると不器用にもなにげなく、
さりげなく生きている私です…


・・・つづく

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