大将からひとこと

第十六回:料理

私は23歳から料理の世界へはいりました。

それまで飲む事が好きで居酒屋さんとか
寿司屋さんには行ったことはあるのですが、
作る側には興味もなく酒のあてぐろいにしか
考えていませんでした。

鹿児島生まれのせいか、
男子台所に入らずと親に教えられた
記憶があります。

母親は料理が上手で割烹着姿が
良く似合う肝玉母さんで、
特に煮物とか茶碗蒸しの味は
今でも舌の記憶の中にあります。

小さいころは父の影響か
テーブルの前で料理を待つか、
並べてあるものを食する感じでした。

その様な私が料理人へと。

周りの人達もびっくりで、
学生時代の友達からの第一声は、
「エッー、ミヤチン(私のあだ名)が!?」
でした。

話下手な私が料理なんて…
という感じだったのでしょうね。

そんな私でもこの世界に入れば楽しく、
朝早くから夜遅くまで無我夢中で働きました。

人より早く出勤し、人より遅く帰る、
皆が居ないときに数多くの料理をマスターする。

それを繰り返し、繰り返し行い、
夢はやはり自分の店を持ち、独立する事でした。

若いし体力もあり、
人の倍3倍ぐらい働きました
(自分が思うだけかも?)。

30歳までに夢を実現しようと決意し、
5年でだいたいの料理をマスターしようと
3軒の店をまわり、
休みの日はいろんな店に食事に行き、
この料理はどのように作っているか研究したり、
美味しい店は何度も通うことでいろんなことを
教えて頂きました。

働いて飲んで食べて寝るの毎日でした。
今はデブですが、その当時は引き締まった体でした。
(知っている人は少ないですが(笑))

この仕事が私の天職と思い、
修行の日々が今では本当に楽しかった思い出です。

料理の基本は玉子料理。
出汁巻き・茶碗蒸し・錦玉子・厚焼玉子と
繰り返し繰り返し暗い夜中や早朝に行いました。

寿司のにぎりは大根をシャリの形に切り、
車の中とか寝る前、風呂の中で練習を行い、
2~3年で10年選手と同じぐらいのスピードで
にぎれるようになりました。

空気を入れ、船の底の形ににぎる。
口の中に入れたらぱーととけるにぎりを
目差し心でにぎると…


・・・つづく

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